白面金毛九尾の狐とは、
東洋において狐の妖怪の最高位に位置する存在である。

その名の通り、白い顔に金色の体毛、
そしてなにより九本に分かれた尾っぽが特徴の妖怪だ。

この狐が特異とするのはもちろん変化。
美しい美女に化け、権力者を骨抜きにしていく。

九尾の狐は紀元前の中国の本に早くも登場し、
殷王朝を滅ぼした妲己がその化身だとか、
インドでも国を滅ぼした王妃になっていたりと国々を渡り歩き、
世界をまたにかけて大活躍してきた。

そして平安時代の日本にもやってきた九尾の狐
「玉藻の前」という女官になりすまし、
当時一番の権力者だった鳥羽上皇に寵愛されるに至った。

しかしここで、陰陽師安倍泰成(晴明ともいわれている)
玉藻の前の正体を見抜き、真言を唱えてその変身を解くことに成功した。

正体を見せた九尾の狐はあわてて宮中を逃走し姿をくらましてしまった。
鳥羽上皇は腕に憶えのある侍達に命じて、逃げた九尾の狐の後を追わせた。

侍達はついに下野国那須野(栃木県那須郡)に狐を追い詰め、
激しい死闘の末これを倒したといわれている。

しかしこの時、死に際の九尾の狐はその姿を石に変化した。

石になって死に絶えた九尾の狐は、
その石から常に近づく人や動物の命を奪う瘴気を放ち続けているのだという。

この石の名を「殺生石」と言い、
死してなおあたりに毒気を振りまくその姿はまさに大妖怪である。

現在、この「殺生石」は栃木県那須町の那須湯本温泉に実在する。

14世紀に高僧によって砕かれ小さくなっているが、
かつては本当に狐の姿をした石だったそうだ。

しかし、小さくなった今でも退治されたときのように
あたりに瘴気を振りまいている。