「ぷよぷよ」呪いのテトリスの起源と噂の背景

1992年10月にアーケードで稼働を開始した初代「ぷよぷよ」は、コンパイルが開発し、セガが販売した落ち物パズルゲームの傑作だ。この可愛らしいぷよたちが活躍する筐体の近くで、別の名作パズルゲーム「テトリス」の筐体にまつわる都市伝説「呪いのテトリス」が生まれた。噂によると、深夜のゲームセンターで「テトリス」をプレイすると、ブロックがプレイヤーの操作を無視して勝手に落ちたり、画面に「HELP ME」という不気味なメッセージが表示されたりしたという。この話は「ぷよぷよ」シリーズとは直接関係ないが、両者が並んで設置されていた当時のアーケード文化の中で語られ始めた。

噂の起源は1990年代初頭、初代「ぷよぷよ」がゲームセンターで人気を博していた時期に遡る。当時、テトリスは1988年にセガがアーケード版をリリースしており、ぷよぷよと並んで設置されることが多かった。怪談の発生は、深夜営業するゲームセンターでのプレイヤーの体験談が口コミで広まったとされ、特に2ちゃんねるの前身となる掲示板やゲーム雑誌の読者欄で話題に。ぷよぷよの明るい雰囲気と対照的なテトリスの不気味さが、都市伝説に独特のコントラストを与えた。

異常現象とゲームセンターの怪談

呪いのテトリスの具体的な現象は、深夜にプレイした際に顕著だったとされる。ある証言では、「ブロックが高速で落ち続け、操作が効かなくなった」と語られ、別のプレイヤーは「画面が暗転し、『HELP ME』と白文字で浮かんだ」と報告。さらには、「筐体から低い唸り声が聞こえた」「ブロックが落ちる音が叫び声に変わった」との不気味な体験も。こうした話は、ぷよぷよをプレイした後にテトリスに移動した者や、両者を交互に遊んだ者から多く語られた。

当時のゲームセンターは、深夜になると照明が薄暗くなり、客足が減る独特の雰囲気が漂う場所だった。こうした環境が、疲れたプレイヤーの錯覚や恐怖心を増幅し、「ぷよぷよの隣のテトリスが呪われている」との怪談を生んだ可能性がある。1990年代のアーケード文化では、「故障した筐体が霊に取り憑かれた」といった噂が飛び交うことも珍しくなく、この話もその一環として広まった。

ぷよぷよとテトリスのアーケード時代

「ぷよぷよ」は1991年にMSX2とファミコンで初登場し、翌92年にアーケード版がリリースされた。対して「テトリス」は1984年にソ連で生まれ、88年にセガがアーケード版を展開。両者は落ち物パズルの双璧として、ゲームセンターで並んで設置されることが多かった。ぷよぷよの可愛らしいキャラとテトリスのシンプルなブロックは対照的だが、同じ空間で共存する中で、プレイヤーの間で奇妙な結びつきが想像された。呪いのテトリスの噂は、「ぷよぷよの明るさがテトリスの闇を引き立てた」とも解釈され、両者の対比が怪談を際立たせた。

興味深いのは、テトリス筐体の異常が「ぷよぷよの影響」と結びつけられた点だ。一部では、「ぷよぷよの連鎖音がテトリスに干渉した」「ぷよぷよをプレイした後にテトリスが狂う」との伝聞も。ゲームセンターの騒音や電磁波が、疲れたプレイヤーの錯覚を助長した可能性もあるが、真相は定かでない。

科学と心理が解く異常の正体

ブロックが勝手に落ちる」や「HELP ME」の表示を科学的に見ると、アーケード筐体の故障やバグが原因と考えられる。当時のテトリス筐体(セガのシステム16基板)は、長時間稼働による過熱や接触不良で異常動作を起こすことがあった。ブロックの落下は入力遅延やプログラムエラー、「HELP ME」はデバッグモードの残骸が誤表示された可能性が。深夜の薄暗い環境下では、疲労した目がノイズを文字と誤認する錯視も起こり得る。

心理学的に言えば、「深夜の恐怖」が鍵だ。長時間プレイ後の疲労と、ゲームセンターの静寂がプレイヤーの不安を増幅。「ぷよぷよ」の明るさから「テトリス」のシンプルな画面に移るギャップが、異様な感覚を生んだかもしれない。「集団ヒステリー」で噂が拡散し、「HELP ME」が事実のように感じられた。それでも、具体的な証拠がない曖昧さが、怪談としての不気味さを保つ。

ゲーム文化の中の呪いのテトリス

ゲーム都市伝説は、技術と想像力の交差点にある。「ぷよぷよ」の呪いのテトリスは、「ドラクエVII」の隠しメッセージや「SIREN」の失踪説と並び、アーケード時代の怪談として独特の位置を占める。ぷよぷよの可愛らしさとテトリスの無機質なブロックが共存する空間で、プレイヤーが恐怖を紡いだ。日本のゲームセンター文化—深夜の孤独と機械の軋み—が、噂にリアリティを与え、明るいゲームにも闇があるとの印象を植え付けた。

興味深いのは、両者が後に「ぷよぷよテトリス」(2014年)で公式コラボした点だ。この都市伝説を知るファンは、「呪いのテトリスが現代に蘇った」と冗談交じりに語ることも。ぷよぷよとテトリスの歴史が、怪談を通じて意外な形で繋がった。

現代に残る呪いの噂

2025年現在、「ぷよぷよ」の呪いのテトリスはレトロゲーム愛好家や都市伝説ファンの間で語り継がれている。YouTubeでは「当時のテトリス筐体を検証」との動画が上がり、「深夜にやると怖い」とのコメントが。Xでも、「ぷよぷよとテトリスを並べて遊んだら何か起こるかも」「HELP MEを見た気がする」との投稿が散見される。アーケードアーカイブスや復刻筐体で試す者もおり、噂の生命力は健在だ。

「ぷよぷよ」は明るい名作として愛されるが、呪いのテトリスは隣に潜む不気味な影として今も存在感を示す。興味があれば、深夜に古いテトリス筐体を探してみるのもいいが、何か異変が起きたら…自己責任で。

ブロックの裏に潜む叫び

「ぷよぷよ」の呪いのテトリスは、アーケード時代の怪談として生まれた不思議な都市伝説だ。勝手に落ちるブロックと「HELP ME」の文字は、筐体の悲鳴なのか、それとも深夜の錯覚が作り上げた幻なのか。もし古いゲームセンターを訪れるなら、ぷよぷよの隣のテトリスに目を向けてみてはどうだろう。どこかで、不気味な助けを求める声が聞こえてくるかもしれない。

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