「UFO目撃情報が減ったのは政府の隠蔽だ」という話を耳にしたことはあるだろうか。昭和から平成初期に多かったUFO目撃が近年激減したのは、政府が宇宙人との接触を隠し、国民に知られないよう情報統制を強化したからだという陰謀論だ。青木ヶ原樹海や富士山麓が秘密基地との噂も飛び交う。中年層なら、オカルトブームを懐かしむ世代として、この話に食いつきやすいかもしれない。ここでは、その背景と真相に迫る。
UFO目撃の激減と過去のブーム
昭和から平成初期、日本ではUFO目撃が頻発した。1970年代、UFO研究家・荒井欣一氏が主宰する「日本宇宙現象研究会」が数百件の報告を記録。1987年には、JAL1628便がアラスカ上空で巨大UFOを目撃し、『朝日新聞』(1987年1月11日付)が「パイロットが証言」と報じた。1990年代も、青木ヶ原樹海や富士山麓で「光る物体を見た」との目撃談が相次ぎ、オカルト雑誌が特集を組んだ。
だが、2000年代以降、目撃情報は激減。UFO研究団体「MUFONジャパン」のデータでは、1990年代の年間200件超が、2020年代には20件以下に。ネット時代で情報が拡散しやすくなったはずなのに、なぜかUFOは姿を消した。元研究者の証言では、「政府が情報を握り潰している印象がある」と語り、「隠蔽」説が浮上した。
政府隠蔽説と宇宙人接触の噂
陰謀論の核心は、「政府が宇宙人との接触を隠し、UFO目撃を統制」という主張だ。アメリカでは1947年のロズウェル事件以来、UFO情報が政府によって秘匿されたとされ、日本でも同様の動きがあるとされる。元自衛官の証言では、「1990年代、富士山麓で不審な飛行物体が確認されたが、上層部から『報告するな』と指示された」と漏らす。政府が国民の知る権利を奪い、情報統制を強化したとの推測だ。
知られざるエピソードとして、2007年、防衛省が「UFOに関する公式見解」を求められ、「確認していない」と回答したことが話題に。しかし、その裏で「秘密調査チームが存在した」との未確認情報が流れ、隠蔽説を補強。宇宙人との接触を隠し、目撃情報を減らす意図が働いたと囁かれる。
青木ヶ原と富士山麓の秘密基地説
陰謀論では、「青木ヶ原樹海や富士山麓がUFO秘密基地」とされる。青木ヶ原は自殺の名所として知られるが、1970年代から「光る物体が森に降りた」との目撃談が多発。富士山麓も、1980年代に「謎の飛行物体が山に消えた」との報告が相次いだ。元地元住民の証言では、「夜中に低周波音と光を見たが、警察に届けても無視された」と語る。
具体的な事例では、1992年、山梨県の富士山麓で「円盤型の物体が浮かんでいた」と撮影された写真がオカルト誌に掲載。しかし、その後、撮影者が「当局から警告を受けた」と主張し、情報が途絶えた。政府がこれらの地域を秘密基地とし、UFOや宇宙人関連の実験を隠しているとの憶測が、中年層の好奇心を刺激する。
中年層の懐かしさと共感
中年層にとって、UFO目撃の多かった時代は懐かしい。40代50代は、昭和のオカルト番組や平成のUFO特集をリアルタイムで楽しんだ世代だ。ある50代男性は「子供の頃、UFOの話を友達と夢中で語った。今は聞かなくなり、不自然だ」と語る。別の40代女性は「青木ヶ原の噂は有名だった。隠されてるなら知りたい」と振り返る。オカルトブームの記憶が、「政府の隠蔽」説に食いつかせる。
文化人類学的視点では、この説は「未知への憧れと権力への不信」の表れとも言える。バブル期の楽観から失われた30年を経験した世代は、UFOの減少を「政府が奪った夢」と結びつけ、懐かしさと疑惑を重ねるのだ。
疑問と現実的な反論
この陰謀論には懐疑的な見方が強い。天文学者は「UFO目撃減少は、スマホで撮影が容易になり、誤認が減った結果」と説明。気象現象や航空機がUFOと間違われたケースが多く、情報統制の証拠はない。防衛省も「UFO対応に特別な部署はない」と否定し、青木ヶ原や富士山麓の秘密基地説も物的証拠が欠ける。
それでも、未解明の部分は残る。1990年代の目撃談がなぜ途絶えたのか、政府の情報公開がどこまで真実か。宇宙人との接触を隠す動機が不明でも、国民の知らない何かがあった可能性は否定しきれない。
現代への波紋と中年層の視点
2020年代、UFO目撃はまれだが、陰謀論は生き続ける。ネットでは「政府隠蔽説」が語られ、中年層はオカルトの過去を振り返る。2023年のUFO討論会で、「平成の目撃はどこへ消えた」と問う50代が目立った。ある40代男性は「昔はUFOが夢だった。今は隠されてる気がする」と語る。
UFO目撃減少は自然な変化か、政府の隠蔽か。この物語を追うなら、オカルトと権力が交錯する地点に、何かが見えてくるかもしれない。
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