全国でゆるキャラブームが巻き起こり、
様々な都道府県でゆるキャラを見る機会が増えました。

私の出身地、鳥取でもゆるキャラを募集しており、
その中に「かつ江さん」というキャラがいました。

見た目は明るいピンク色の和服を着て
温厚な笑顔を浮かべた女性なのですが、
とある理由で起用は見送られたそうです。

その理由は「表情こそ温和だが手に包丁を持っており、
餓えの記憶を呼び覚ましかねない
」ためです。

話は少し変わりますが、本能寺の変で織田信長亡き後、
全国は戦国時代に戻ろうとしていました。

豊臣秀吉は乱世を治めるため、
各地で戦いを繰り広げていました。

当時鳥取の戦国大名は豊臣秀吉に激しく抵抗し、
最初は開城や降伏に応じなかったそうです。

そこで秀吉が採った策は兵糧攻めでした。

記述を見るに城を取り囲んで物資の補給を断った他、
周辺地域の流通ルートを抑えて城に繋がる
食糧の供給ルートを完全に遮断したようです。

籠城した兵士は兵糧攻めが始まってから
しばらくの間は雨露で喉の渇きを癒していたようです。

しかし、食糧が全く手に入らないため、
時間が経つにつれて飢えの為か斃れる兵士が増えてきました。

日に日にその数は増していき、
ついにこのままでは戦いを挑むどころか全員が餓死してしまう、
と判断した武将は開城に応じます。

戦国時代の記述や資料を読むと攻められた武将が降伏した時の状況や、
開城して乗り込んだ場面を詳しく記載した内容の書物があります。

同様の資料を探して見ましたが、
詳細が載った内容の文書を見つけることは出来ませんでした。

「長期に渡る兵糧攻めでやっと降伏した」と
当たり障りの無い書き方が多かったと思います。

何故?と思い、落城時の状況を想像してあることに思い至った時、
記述は残せなかったし、残さなかったんだと理解しました。

包丁を手にして笑顔を浮かべた「かつ江さん」、
その笑顔の意味を知ると本当に怖い「かつ江さん」になるのです。