鹿児島県にある「藺牟田(いむた)池」と
住吉池」は地下水路でつながっているという。

藺牟田池は薩摩川内市、住吉池は姶良市にあり、
二つの池は地図上の直線距離で、約10㎞も離れている。

その昔、藺牟田池で人が溺れると、その死体は住吉池で発見されたという。

また、藺牟田池でイグサを刈り取ると、その水の濁りは数日後に、
住吉池に現れたという言い伝えが、地元には残っている。

藺牟田池には男女の竜の伝説があり、
男女の龍は池で仲良く暮らしていたが、
やがて、男竜は霧島山の大浪池の女神と暮らしはじめてしまう。
 
男竜を追い、女竜は地底を掘り進み、大浪池まで辿り着こうとしたが、
間違って途中の住吉池に出てしまった。

そのため、藺牟田池と住吉池は、地底でつながってしまったということだ。

藺牟田池は過去に何度か、夏の渇水時に干上がってしまったことがあるが、
底面のようすが分かるその状態で、地下水路が確認されたという記録は、残ってはいない。

だが、二つの池を結ぶといわれる、
その幻の水路は、本当に地底に存在しているのではないだろうか。
 
長い年月の間に、少しずつ水路の入り口となる部分が埋まってしまい、
目視だけでは確認できないだけではないか。

そして、地震などの地殻変動が起きると、一時的に本来の機能を回復し、
藺牟田池よりも標高の低い住吉池に、池の水を流し、
それが数年に一度の激しい夏の渇水と重なり、藺牟田池を干上がらせる、
原因のひとつとなっているのかもしれない。

同じ考えに至る人も多く、報道されてはいないが、
池の水位がかなり下がった数年前の夏、
幻の水路を探索しようとした地元の30代女性が、
ぬかるみに足を取られ身動きできなくなった。
 
女性は、池の売店従業員による通報で、駆けつけた救助隊に助けられたそうだ。
 
男竜に会いに行くために、女竜が地中を掘り進すみ、つくった水路…。
そんなロマンチックな水路は、本当に存在すると信じている人たちが、
藺牟田池の地元には、今もたくさんいるという。