一夜にして海に沈んだ街の話は世界中にあります。
古代ギリシャの哲学者・プラトンが紹介したアトランティス大陸が有名です。
少し規模は小さいのですが、1000軒の民家があった島が
一夜にして沈んだという伝説が、四国の徳島県にあります。
島の名前は亀島。
現在の徳島市津田町沖5キロにある暗礁・お亀磯が
その名残だと伝えられています。
徳島市にはこんな言い伝えが残っています。
1000軒の民家がある亀島には、神様をまつる祠があり、
入口には狛犬の代わりに2頭の鹿が飾られていました。
毎日、お参りに来ていた老夫婦の夢に神様が現れ、
「鹿の目が赤くなったら島が沈むので鹿と一緒に逃げなさい」と言いました。
この話を聞いた若者がいたずらで鹿の目を赤く塗ったのです。
老夫婦は慌てて逃げました。
若者は大笑いしていたのですが、
その晩に大津波が来て島は海中に沈んだそうです。
老夫婦は助かったのは鹿のおかげだと喜び、
徳島市に今もある四所神社に鹿を安置したというものです。
歴史書の「勝浦郡志」には1594年の文禄地震で
島が沈没したと書かれています。
大津波が徳島を襲った1361年の正平地震という説も
郷土史家の間で語られています。
とにかく地震と津波で島が沈んだことだけは確かなようです。
江戸時代には島の一部が岩礁となって水面上に残っていましたが、
1854年の安政南海地震で崩壊し、今は全て水中に沈んでいます。
島の跡は船が座礁しやすいポイントになっていることから、
灯標が建てられ、安全航行を見守っています。
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