駅員が終電後の改札を閉めると、遠くから足音が近づいてきた。一人のはずなのに、コツコツと響き、改札の向こうに影が揺れる。覗くと誰もおらず、ただ冷たい風が吹き抜けた。翌夜、足音が続き、改札のカウンターに黒い手形が残る。闇が深まる頃、影が改札を叩き、低い声が名前を呼んだ。駅員は震えながら逃げたが、翌朝、手形は消えず、埃が床に散らばっていた。

同僚に聞くと、「その駅、昔、帰れなかった客がいたって噂だよ」と呟いた。駅員は改札を避け、耳を塞ぐが、足音が背後に響き続ける。