京都市東山区にある450年以上続く飴屋さん
みなとや幽霊子育本舗」。

みなとや幽霊子育本舗

みなとや幽霊子育本舗

近くに六波羅珍皇寺や六波羅蜜寺があり、
毎年8月初旬に「六道参り」で賑わっています。

そこの飴屋さんで販売している、「幽霊 子育飴」。
今回はその「幽霊 子育飴」のお話をしようと思います。

時は慶長4年(西暦で言うと1959年)。
慶長5年の関が原の戦い、慶長8年の徳川家康が
江戸幕府初代将軍になった頃より少し前のお話です。

その頃、と京都のある飴屋さんに毎夜、丁度店じまいをしようとする頃に、
若い女の人が飴を買いに来ていたそうです。

・・・若い女性の様子が何だかおかしい。
しかも、毎夜、毎夜飴を買いに来るものですから、
さすがに飴屋さんの店主が不審に思い、ある日の夜に
飴を買いに来た女の人の後をこっそりつけて行きました。

後をついていくと、女の人は突然、
鳥辺野の墓地の前で姿を消してしまいます。

仕方なく、店主は翌日寺の住職に事情を話し、共に墓地に向かうと
ある場所から赤ん坊の泣き声が聞こえてきます。
聞けば、若くして亡くなった女性を最近埋葬したと言う。
そこで、お墓を掘り起こすことにしました。

すると、棺の中の女の人はまぎれも無く、飴を買いに来た女の人。
その横で、かわいい赤ちゃんが飴をしゃぶっていました。

お墓の中で生まれた赤ちゃんのために死んでなお、幽霊になってでも
赤ちゃんの為に毎夜毎夜、飴を買いに行っていたのです。

そのかわいい赤ちゃん。その後、無事に保護されて8歳で僧になり、
お母さん菩提を弔い、やがて高名な僧になり68歳の生涯を遂げたとの事です。

赤ちゃんが見つかってからは、その飴屋さんに
若い女の人が飴を買いに来ることはありませんでした。

いつしかその飴屋さんで売っている飴が「幽霊の子育て飴」と
言われるようになり、現在も買い求める人が絶えません。

砂糖とお水だけで作った素朴な飴です。
値段もお手頃ですので、近くにお立ち寄りの際は
お買い求めになってみては如何でしょうか。