携帯の電波が届かない、
そんな山奥の田舎にある集落で行われている儀式があります。

その昔、あやまって神の使いのサルを殺したことから、
村を取り仕切る長の家では奇形の子供ばかりが
生まれるようになったそうです。

その呪いから逃れる為に、
長の家で行われるのがオンマシラの儀と呼ばれる儀式です。

住職や神主がおこなう神仏の加護を得る儀式ではなく、
長の家が独自に生み出した邪法・外法のような儀式で、
生皮を剥いだサルに着物を着せ、
そのままサルを丸焼きにして食べるのが儀式の肝になります。

皮を剥がれた人型の肉は、
牙があるからかろうじてサルだと分かりますが、
着物を着た人型の肉のおぞましさは想像もしたくありません。

サルを食べることでサルの呪いに打ち勝つ
と言うのは余計にサルの怒りをかい、
呪いを強めてしまいそうですが。

食を通したまじないに、
食べた相手のいい所をとりいれる・近づくというものがあり、
サルを食べる儀式でサルに近づくことで
呪いを遠ざけていたように見えます。

この話を伝えて頂いた集落出身者によると、
村の長は赤みがかった顔をしていて、
サルを思わせる風体だった
ということです。

集落の住人は念の為に17になると
オンマシラの儀を一度だけ受ける
のですが、
呪いは長の家に向かっているようで、
長の家では定期的にサルを摂取している様子がうかがえます。

オンマシラの儀が行われる集落ではサルは害獣で、
呪いに打ち勝つ為にサルを求める長の家、
サル対策の援助が必要な住人という構図も見えてきます。

主に呪いを恐れる長の家で行われている風習なのですが、
地域の事情もあり集落の風習になった、
それがオンマシラの儀のようです。