「闇の夜の井戸」とは、北海道松前町の松前城本丸御門西にある
井戸にまつわる都市伝説です。
江戸時代、矩広の乱行を諫めた丸山久治郎兵衛が
悪臣に謀られて生き埋めにされたのがこの井戸で、
ある時、丸山は「殿の鉄扇が井戸に落ちたので取ってきて欲しい」と言われ、
それが謀り事であることを承知で応じた。
そして悪臣達は丸山が井戸に入ると、その上から大石を投げ込んで殺してしまった。
その後、矩広の子が早世するなどの怪異が続き、
祟りを怖れて井戸を埋めようとしたが、
いくら土砂を流し込んでも埋まる気配はなかったという。
さらに月のない夜になると、
今なお井戸から呻き声が聞こえてくると言われています。
ただし、現在ある井戸はこの丸山久治郎兵衛が
実際に殺害された場所から移転されているらしく、
そうなるとこの都市伝説の信憑性は低くなるのですが、
一方で、シャクシャインの乱(1669)という、
同じく松前城で過去に起きたとされる事件が関係しているとされています。
松前藩の開拓による抑圧で生活を侵害されたアイヌ民族は
首長シャクシャインをリーダーに武装蜂起しましたが、
形勢は幕府等の援助を得た松前藩に傾き、和睦の席で彼らは皆殺しにされたらしいのです。
その時シャクシャインの遺体から耳を削ぎ落としたところ、
松前矩広は“耳を返せ”とうめく声を聞いて発狂し、
丸山久治朗兵衛を部下の讒言で井戸に入れ大石を落として殺害したという話もあります。
これら2つも怪奇現象が同じ場所に存在しているというのは、
やはり何か不穏なものが存在しているという事で、
現在も松前城は心霊スポットとしても有名なようです。
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