この話は私の妻から聞いた話です。

妻は鹿児島の出身で地元では
妙円寺詣り」を行うそうです。

詳しく内容を聞くと
「昔戦場から飲まず食わずで必死に還ってきたご先祖様を見習うため、
三日間何も食べずに決められた距離を走り抜ける」というもので、
妻も実際に高校生の時に行ったそうです。

最初話を聞いた時は「鹿児島式の訓練かなにかかな?」
と思っていました。

その後、「妙円寺詣り」の詳しい由来について
思わぬ方法から知る機会がありました。

島津の退き口」という言葉があります。
歴史に興味のある方はご存知かもしれませんね。

石田三成と徳川家康が西軍と東軍に分かれ、
天下分け目の大合戦「関ヶ原の戦い」を行いました。

勝敗は徳川家康率いる東軍の勝利に終わりました。

西軍に参戦していた武将が降伏していく中、
島津義弘公は残り300人となった家臣と共に
東軍の本陣に突撃を仕掛けます。

敵がひるんだ隙に港へと方向を向けて進撃していき、
志願者が追っ手を食い留めて「捨て奸(すてがまり)」で
時間を稼ぐなか、途中で他の家臣や女中を救出しながら
遂に追っ手を振り切り、遠路はるばる鹿児島にたどりつきます。

このとき取った戦法は「島津の退き口」と言われており、
苛烈な戦い方の為か辿り着いたのは80人ほどとされています。

妙円寺参り」は遥か彼方の関が原からお家存続の為、
必死に還ってきたご先祖様に敬意を示すとともに、
その大変さを知るために行う行事として行うようです。

この話だけだと単なる武勇伝のようですが、
「妙円寺参り」を行っている間は不思議な事が起きるそうです。

走っている途中にふと遠くをみると
民家もないのに淡く白い光が見える
もうこれ以上は走れないと思った時に
どこからともなく励ましの声が聞こえてきて
気力が奮い起こされるなど事欠きません。

貴方は「妙円寺参り」、どうとらえますか?