宮崎県の徳泉寺にはカッパにまつわる伝承があります。
享保元(1716)年、徳泉寺に洞益和尚というお坊さんがいました。
ある夏の暑い日、村の葬儀を勤めた後、
和尚は河原に馬を繋いだまま、お寺で休んでいました。
和尚がうとうとしていると、急に馬が大きくいななきながら、
お寺に戻ってきたのです。
何事かと思って和尚が外に飛び出すと、
馬が1匹のカッパをくわえていたのです。
どうやらカッパに川に引き込まれそうになったので、
馬が反撃して和尚のもとに持ってきたようなのです。
和尚はさっそくカッパを懲らしめるため、
柱にくくりつけるとカッパは泣きながら許しを乞います。
和尚はその様子を見て哀れに思って、
水をかけてやった後、柱の縄を解いてやりました。
ところが、翌晩からカッパが夜中になると寺へ押しかけてくるようになり、
お寺の本堂や村の田畑を荒らすようになったのです。
村人と和尚はカッパ退治を行うことに決め、
和尚は7日間の祈祷を行い、
さらに名貫川の1000個の石に経文を記して川中に沈めました。
この祈祷によって手足が不自由になるカッパが次々と現われました。
やがてカッパの大将がお寺の和尚の元を訪れ、
涙を流しながら「今後一切、人や牛馬には危害は加えません。
ですから、どうか川中の経文石を除いてください」と謝りに来たのです。
そこで村人に経文石を拾わせ、カッパへの祈祷を解いてあげたのです。
すると、それ以降カッパが悪さをすることはなくなり、
逆に村の人達を助けるようになったのでした。
現在の徳泉寺にも祈祷碑や
川の経文石を集めて造った塚(河童塚)があり、
本当にあった出来事なのではないかと言われています。
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