千葉県印旛沼には
江戸時代から「カワボタル」という怪異が知られています。

カワボタルはボールのような形と大きさで、
蛍のような光を放つとされていて、
夏秋の雨の夜に出没すると言われ、
印旛沼の湖面をフワフワと漂う姿が記録に残っています

利根川流域に関連する記録『利根川図志』にも
カワボタルの記述があります。

そこでは次のように書かれています。

ある日、印旛沼で夜釣りをしていると、
急に周りが霧に包まれて強風が吹き始め、
10m先も見えないような状態になってしまった。

すると遠くの方に蒼い火の玉が1つ現われ、
徐々に自分の方に近づいてきた。

慌てて逃げようとしたが身体は金縛りにあってしまい、
助けを呼ぼうにも声が全く出ない。

カワボタルが自分の舟の先端にたどり着いたのを見て、
もはや神仏にすがる他にないと思って目を閉じて、
一心に念仏を唱え始めた。

しばらく経って目を開くとカワボタルは姿を消していた。

このカワボタルの正体は一体何なのでしょうか。
実は『利根川図志』にはカワボタルを捕まえた記録も残されています。

この記録では漁師の船の近くにカワボタルが現われ、
漁師が思いきってカワボタルを棹で思いっきり叩き潰したとされています。

カワボタルを叩き潰すと舟一面に火が飛び散り、
しかも腥い臭いが舟にこびりついて全く拭い取れなかった上、
この火に手を触れてしまった漁師は2、3日腥い臭いが洗い流せなかったと言います。

結局、カワボタルの正体は分からずじまいですが、
印旛沼に行けばカワボタルの正体を暴くことができるかもしれません。