千葉県JR常磐線松戸駅の西口有名なホームレスがいて、
仙人」と呼ばれていました。
スドーさん」とも呼ばれていたようです。

現代のホームレスというとダンボールハウスやプレハブを作り、
日雇い仕事をしたりしてそれなりの暮らしをしている人が多いようですが、
仙人」はまったく違いました。

伸ばしっぱなしの髪が背中まで垂れ、いつもボロボロの服を着て、
体を洗ったことがないかのような悪臭を常に放っており、
仙人の姿が目に入ったら息を止めて迂回するのが松戸駅利用者の習慣でした。

靴も穴が開いて、裸足に近い状態でした。

真夏でも真冬でもいつも同じかっこうでしたし、
荷物を持ち歩いている様子もありませんでした。

いつ見てもうつ伏せに突っ伏していて、
起きているのか眠っているのかも定かではなく、
時々誰かが食べ物を目の前に置いていっていましたが、
食べているところを見たことがありません。

飲み物のペットボトルさえ持っていないようでした。

初めて見た時は怖かったのですが、なんせいつ見てもじっと動かないので、
危険はないことはすぐに感じられました。

ごくまれに、「うおおおおお」とうなり声をあげていることもありましたが、
誰かに向かって発している感じはなく、周りを意識しているとは思えませんでした。

脳に梅毒が回って知的障がい者になっているとも言われていましたが、
生活能力がゼロに近いのに、いったいどうして生きていられるのか
不思議でたまりませんでした。

私が松戸駅近くに住んでいたのは12年ほどでしたが、
その間、いつ見ても仙人は同じでした。

亡くなったといううわさを耳にしたこともありますが、
それにしても、人間、いや生き物って意外と強いのか、
やっぱり仙人だったからなのか、謎が残ったままです。