私は青森の小さな漁村で産まれました。
小さな村なので村独特の儀式というものが多々あります。今回は大晦日に体験したちょっと不思議な体験談を書きます。
私の田舎では、大晦日、年越しを迎える際に
村にある小さなお宮に集まるという行事があります。初詣みたいなものですね。
地区ごとで行われている事に若干の違いはあるんですが、
私の地域では階段を200段近く登った先にある
お宮に集まるのが習わしなんです。青森は雪も多く、お宮は基本的に除雪しないので、
積もった雪に足跡をつけながら、
むしろ足を埋めながらお宮に向かうんです。私の地区には100人弱しか人が居ません。
高齢者も多いのでお宮に行く人は限られています。私は父と妹と行っていました。
大体向かう途中で新年を迎えてしまうのですが、
お宮には既に人がいるようで、前の人が歩いた後を進んで行きます。お宮まで真っ直ぐに幾つかの足跡が並んでいるような
そんな状態です。お宮でのお参りが済み、父は地元民と酒盛り、
私達はジュースを飲んでいました。その時です。「キャハハ・・・」
外から小さい女の子がはしゃぐ声が聞こえたんです。妹に確認しても聞こえないと。
でも確かに聞こえ、
その後もまるで雪の中を走り回っているかのような
そんな声が聞こえてきました。その数分後、地元のおばさんが入ってきたんです。
あぁ、連れの女の子か、と思ったのですが、
その二人は夫婦でしたが、
一向に子供が入ってくる気配がありません。知っているおばさんだったので聞いてみました。
「なぇ、親戚とか小さい子供と来なかった?」
「いや、私たちの前には誰もいなかったし、二人で来たよ」階段は大人の足でも上るのに15分はかかります。
更に雪道、小さな子供が一人で来れるような場所ではありません。私はハッと胸騒ぎがして、お宮の扉を開けました。
すると私達が歩いてきた雪道の足跡をかき消すかのように、
小さな足跡があちこちに散らばっていたんです。私は若干恐怖を覚え、父にその事を伝えました。
霊感の強い父は私達兄弟にも一口だけお神酒を飲ませ、
三人でお宮を去りました。そのお宮は夏場になると野山で遊ぶ
子供たちの格好の遊び場になるんです。私も知らなかったんですが、
以前そこで遊んでいた数人の子供たちが山で迷子になったそうです。帰って来ない両親が心配し、みんあで山を探しましたが、
女の子が一人見付からなかったそうです。あの子は今でもあの山で遊んでいるのでしょうか。
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