ある学校法人下の機関で古美術品の研究と
鑑定に従事している友人から
興味深い話を聞かせて貰いました。没落した大名家や旧華族、豪商・豪農などに
伝わっていた所蔵品目録を調べて見ると、
そこには必ず江戸初期の高名な絵師のある作品(掛け軸)と、
これも同様に名品として名高い古九谷の絵皿が
揃ってあるというのです。そして所持していた家の末路はすべからく悲惨なもので、
身内だけでなく後継者と目される縁者が
次々と奇病に侵され亡くなったり、
想定しえない大災害が連続して発生することによって
商売が成り立たなくなったり等、
まるで呪われたかのような悲劇が続けざまに数代に渡って
その家系を襲い続け、最終的には滅んでしまっているというのです。現在、掛け軸はある県立美術館に所蔵されており、
一方、皿の方は著名な企業経営者の愛蔵品として
そのコレクションの一つに収まっているそうですが、
実はその経営者の傘下にある企業の一部が深刻な業績不振で、
コレクションを手放さざるを得ない状況にあり、
皿も売り立て品としてリストアップされているというのです。そして掛け軸を所蔵している美術館のある学芸員が
その皿の購入を強硬に主張し、
どうやら実現してしまいそうだというのです。事情を知る美術館の古参職員などはその不吉さを知っており、
断念するように話を持っていこうとかなり努力したそうですが、
その学芸員の義理の父親というのが県政に相当影響力を持つ有力者で、
そうしたパワーを背景にした彼を最終的には止められなかったそうです。そしてもう一つ気になることを言えば、
彼の学芸員の家系を辿ると嘗て皿を持っていた
地元の豪農の末裔に当たるという事実もあるそうで、
なにか不思議な縁が動き出しているような気がしてならない、
ちょっと怖い話だと感じました。


コメントを残す