Aには美人で自慢の彼女Nがいました。そして彼女には双子の妹がいました。

実のところ、Aが本当に好きだったのは、Nの双子の妹だったのですが、Nが先に告白してきたので、Nと付き合うようになりました。そのせいもあって、Aが時たま、彼女の妹の話を喜々としてしまうことがあり、そのせいでNが激しく嫉妬してしまうことがしばしばでした。

一方で彼女と付き合って以降、彼女に内緒で妹とも親しくなっていき、時々電話で談笑する仲になっていました。加えて、最近自分の家に近い所で1人暮らしを始めたことも教えてもらいました。

彼女が自分の家に泊りに来る前日のある日、家に1人でいたAは、彼女の妹に電話をかけました。

A「もしもし、俺だけど元気?」

「A・・・・ゴホ!ゴホ!」

A「大丈夫?」

「ええ、ちょっと夏風邪を引いちゃって、今、家で寝ているところ」

A「夏風邪かよ。見舞いに行かなくていいの?」

「そんなことをしたらお姉ちゃんに悪いよ」

A「今日はNがいないし、家も近いことだし」

「でも・・・・ゲホッ!ゲホ!ゴホッ!ゲホッ!」

A「おい!大丈夫か?やっぱり心配だから見舞いに行くよ」

「・・・・・ゴメン。大丈夫大丈夫。風邪移しちゃ悪いし、友達が来るから見舞いはいいよ。何とかなりそうだし」

A「そうか。じゃあお大事に」

「ねえA?私とお姉ちゃんのどっちが好き?」

A「・・・・・君だよ。Nには内緒な」

「・・・・ありがとう。じゃあね」

嬉しかったのか泣いてるような声で電話が切られました。

翌日、電話のことを知らないであろうNが予定通り泊りにきましたが、いつもならAと一緒にお風呂に入るNが、この日は何故か別々に入りました。

Nの妹の声を聴いたのが、あの日の電話が最後となることをAが知るのは、それから数日後のことでした。