ある警察官Aが勤務している地域に、登山客や地元の人が遭難し、行方不明となる事件が多発している山があり、「神隠しの山」と地元では呼ばれていました。
特に近年は行方不明事件が多発していたために、Aとその友人で、世界中の山を登った経験がある登山家Bとともに、山へ入って行方不明者を捜しました。
しかし急な天候の変化のせいで、今日中に下山できずに、どこかで一泊過ごさざるをえなくなりました。仕方なく野宿に適当な場所を探していたところ、日の沈んだ頃に、幸いにも2人は山小屋を発見しました。
小屋には、一人のお爺さんが住んでおり、中にいれてもらえることになりました。一方で、お爺さんの顔を見た時に、何故か日頃は陽気なBの表情が一変し、口数が少なくなりました。そしてお爺さんに気づかれないように、小声でAに
「この家で出された食事に口をつけるな。あと、あの老人は用心した方がイイ」
Aがお爺さんと少し話をしてみると、お爺さんは
「もう高齢なので、かれこれ何年も、この小屋から出ていない」
「この小屋に客が来るのは、久しぶりだ。最近は誰も訪れていない」
という話をしたそうです。
お爺さんはそう言いながら、気前よく肉が入ったスープを2人にふるまってくれました。AはBに言われていたので手をつけなかったのですが、当のBは遠慮なく、そのスープに入っていた肉を口に入れました。
そしてBは、口に入れた肉を食べ終わると、間髪入れずにポケットに隠し持っていたサバイバルナイフでお爺さんを刺し殺しました。一瞬の出来事に驚いているAに対して、Bはそのスープに絶対に手をつけてはいけないことと、この山小屋を隅々まで調べるように言いつつ、深い眠りにつきました。
その後、Bの行動は間違っていなかったことが発覚しました。また、後にAはなんで分かったのかBに問うと、Bはこう答えたそうです。
「昔、海外の山で遭難した時に仲間があの目をしていたし、あの肉は、その時食べたことがある」
2019年10月4日 at 8:23 PM
A以外はカニバリズム経験者