私が彼と付き合い始めたのは、大学2年の夏でした。優しくて、頼もしい彼との交際は順調そのもので、毎日幸せでした。しかし、そんな日々もある日突如終わりを迎えます。

それはバイト終わりの帰宅途中のことです。後ろからつけられている気配を感じて振り返ってみると、目深く帽子をかぶった人がいました。時間は23時過ぎ、丁度歩いていたのは閑静な住宅街で、道には私とその人物しかおらず、気味悪く感じた私は足早に歩き始めました。すると、その人物も私の歩調に合わせるように歩みを早めるのです。

怖くなり、振り返らずその日は走って帰宅しました。最初はきっと気のせいだろうと思っていましたが、そんな事が何度か続くようになり外出が怖くなりました

そして決定的な出来事が起きました。家に着くと、ポストに手紙が投函される音がして確認すると、黒い封筒がありました。封を開けると、新聞の見出しやチラシの文字で「カレシトワカレロ」と切り貼りされている手紙が入っていたのです。

家の前まであの人が来てたのかと思うと不安になると同時に、彼の事を知ってる犯人は誰なのかと疑心暗鬼になりました。その日は怖くて、近くに住んでいた友達に来てもらい、夜を明かしました。

友達は「彼の元カノなんじゃないの?」と聞いてきます。
「恨まれるような心当たりないんなら、それしか有り得ないって」

「そうなのかな」表情を曇らせる私に、友達は続けます。

1度彼に全部話した方がいいよ、もしかしたら犯人分かるかもしれないし」実は私はこれまでの事を彼に迷惑が掛かるといけないと思い、彼には相談していなかったのです。後ろめたさもありましたが、友達の後押しもあり彼に話す事を決意しました。

彼に誰かにつけられている事、手紙の内容について話すと、「それにしても黒い封筒に切り貼りした文字なんて、趣味の悪い犯人だね」「もっと早く相談して欲しかった」と怒られましたが、「これからは出来るだけ送り迎えをするよ」と申し出てくれました。