1981年6月17日に東京都江東区で発生した
深川通り魔殺人事件

乳児や児童を含む4人が死亡、
2人が重傷を負うという痛ましい惨劇
だった。

後にテレビドラマ化されたほど世の中に衝撃を与えたが、
何よりインパクトがあったのは、
白いブリーフにハイソックスといういで立ちの犯人が、
自殺防止用の猿ぐつわをかまされて連行される
逮捕時の映像
だろう。

犯人の男の、とても20代には見えない
老けこんだ容貌も異様だった。

男はこの日、江東区森下で、
偶然通りかがった面識のない近所の主婦(27歳)と
その長女(3歳)、長男(1歳)を柳刃包丁で次々と刺殺

続いて、少し離れたところを歩いていた
女性の腹部を刺した

さらに、鉢合わせした女性に怪我を負わせ、
人質をとって中華料理店に篭城

7時間後、人質が隙を見て逃げ出したタイミングで
警察が突入し、ようやく取り押さえられた。

しかし、この事件には恐ろしい後日談がある
男の祖父はかつて同じ森下で刺殺されていたのだ。

そして、祖父を殺害した犯人こそ、
最初の犠牲者となった母子連れの母親の祖父
だった。

もちろん男はそれを知る由もない

けれども、母子に出会う前に
多くの通行人とすれ違っていたにもかかわらず、
なぜか狙いすましたように母子に最初に襲いかかった

母子連れが通りかがった時のことについて、
男は警察でこう供述したという。

『殺せ、殺せ……』という声が頭の中で聞こえてきた

祖父の怨念が世代を超えて恨みを晴らしたのだろうか。
この後日談は人権保護のためオフレコになったといわれている。