お母さんは、妹が生まれてからというもの僕を全然かまってくれなくなった

一緒に遊ぼうと言っても、絵本を読んでほしくても、いつも「お兄ちゃんは後でね」と、妹のことばっかり見ている。せっかく僕とお母さんの二人で遊んでいるときだって妹が泣き出したらお母さんはすぐにそっちに行ってしまう。

夜寝るときだって、妹が夜中に泣き出すからと僕は別の部屋に寝かせられることになってしまった。妹が一晩中泣いていた次の日は、お母さんも眠そうで、すごくかわいそうだ。

お母さんをひとり占めする妹なんて、大嫌いだ!生まれなければよかったんだ!僕は決心した。こうなったら、妹を殺してやろう!でも僕は子どもだから、力のいる方法は無理だ。

大人が見ているところでは止められてしまうから、こっそり準備ができるような方法がいいな。毒で殺したらどうかな。いつの間にか妹の口に毒が入るようにすればいい

僕は図鑑を開き、毒草について調べた。そして家から少し離れた森へ、毒草を摘みに出かけて行った。毒のある葉っぱ、花、草の根っこ……いろいろ集めて、乾燥させて粉々にすりつぶして……

とうとう毒薬が出来あがった。これで邪魔な妹はいなくなる。お母さんはまた以前のように僕ひとりだけを見てくれる……お母さん、待っててね。すぐに前みたいに楽しい毎日になるからね。

次の日、妹がハイハイしながら僕のところにやってきた。おかしい。なんで生きているんだ?

妹は、覚えたての言葉で「ぱぱ」と言った。僕がリビングに行ってみると、パパが死んでいた