全く、最近の世の中はなっちゃいない。

ついこの間、留置所からの犯罪者の逃亡事件や警官の銃の置き忘れなんて失態があるし、身近じゃ俺の家の近くで、若い女が業務用アイスピックでめった殺しにされる物騒な事件があったというのに、未だに犯人が捕まらない。血税で飯食わせてもらっているくせに近頃のポリスマンはなにをやっているのだ?ろくに働かねぇんだから、穀潰しも良い所だぜ。

ここら辺じゃ滅多にない大ニュースなせいもあって、マスコミ共もかなり大きく取り上げてはいるが、恐怖を煽るだけ煽って、結局犯人が捕まらないんだから無責任なものだ。しかも、最近じゃ地域の住民が近所に無関心で隣の家の奴の顔も知らずに挨拶すらしない。全く世の中はなっちゃいない。そんな弛んだ世の中だからこそ、俺みたいなのが地道にコツコツと地域に目を光らせねばいかんのだよ。

そんな事を思って近所のファミレスで朝食をとっていたら、俺のお気に入りの黄色い帽子が珍しいのか、俺のことをジロジロ見ているチャラチャラした若い男二人組が目についた。

俺はトイレでその2人組の片方に会った時に「オハヨウゴザイマス!!」と俺は大きな声で挨拶をした。

地域の親近感や連帯感を高めるためにも「声かけ、あいさつ運動」を模範的にやることは大事だろ?

すると、その若い男は「おはようございます。」と意外にも返してきた。

そいつの友人にも同じように挨拶をしたが、そいつもしっかり挨拶を返して来た。先月会った、まともに挨拶一つを返さなかった若い姉ちゃんみたいな残念な奴もいるが、先ほどの若者みたいにちゃんと挨拶を返すいるなんて、まだまだ世の中捨てたものじゃないのかもな?

そんなことを思っていたら、もう一人の若者もトイレに入ってきた。もう一人にも声かけをしたら、同じく挨拶を返してきた。俺がトイレの個室に入ると2人の会話が聞こえてきた。

「なあ、1か月前にここの近所で女が殺された事件あったよな?まだ捕まってないのかよ」
「ああ、犯人が捕まらずに凶器も分からってない事件だろ?物騒だぜ。」

「警察は一体何をやっているんだ?」
「まったくだぜ」

つくづくこの二人には親近感が湧くよ。