会社員がアパートの階段を上がると、踊り場で足音が止まった。一人のはずなのに、かすかな響きが続き、冷たい風が吹き抜ける。翌日、踊り場に黒い染みが広がり、触ると湿っていた。夜、染みが動き、会社員の足元に近づいてくる。闇が濃くなる頃、染みが蠢き、冷たい息が足に触れた。彼は悲鳴を上げて逃げたが、染みの臭いが追いかけてくる。

管理人に聞くと、「その階段、昔、変なことがあったって噂だよ」と呟いた。会社員は踊り場を避け、目をつむると、足音が背後に漂う。