おじいさんが古い電話を手に持つと、向こう側から声が漏れた。「見てる」と囁き、静寂が部屋を包む。驚いて置いたが、夜、電話が鳴り、声が大きくなった。翌日、受話器に赤い染みが広がり、声がおじいさんの名前を呼ぶ。冷気が漂う中で、電話が震え、黒い影が線から揺れた。おじいさんは悲鳴を上げて逃げたが、翌朝、電話は元の場所に戻り、染みが床に残っていた。

孫に聞くと、「その電話、昔、変なことがあったって噂だよ」と教えてくれた。その声は、今も耳に残っている。