日本海に面した島根県寄りの場所に高山という、
山頂付近には多くの巨岩がむき出しになった山があり、
山頂付近ではコンパスが役に立ちません

この巨岩が協力な磁石のような性質をもつために、
コンパスの針が巨岩に引っ張られてしまうからです。

強い磁力を持つことから高山の巨岩は昔から「磁石石」と呼ばれ、
国の天然記念物にも指定されるほど珍しいものです。

最初にこの話を聞いた時には、
磁石で出来た岩がそんなに珍しいのだろうか、
それとも大きな塊なのが珍しいのだろうかと思っていました。

ところがこの巨岩は高山に多く含まれる斑れい岩の塊で、
斑れい岩がここまで強い磁力を持つことは考えられず
しかも山頂付近の岩石だけ強力な磁力を持つというのです。

何処にでもあるような普通の岩が、
どうして強力な磁力を持つようになったのでしょうか。

研究の結果、
落雷を浴び続けた高山頂上付近の巨岩が、
強力な磁力を身につけた
と考えられています。

砂鉄を撒いた所に一瞬だけ電流を流すと、
電流を流した所を中心にした円状に砂鉄が並ぶ実験があります。

これは電流を流すことで、
電気の流れから磁力が生まれた事を見えるようにした実験なのですが、
高山の頂上でもこれと同じことが起こったのです。

電気の塊である落雷から生まれた磁界に何度もさらされ、
岩石に含まれる鉄分が強力な磁力を持つようになった

まるで雷が岩を鍛えたようにも見える偶然の結果が、
磁力を持った岩「磁石石」なのです。