神様や仏様を祀ると聞くと、
神秘的な光景を想像するけど。
ボロボロの服を着た、
みすぼらしい乞食姿の男を祀る祭りが。
岐阜県加茂郡川辺町の縣神社(あがたじんじゃ)で、
毎年 4月 1日に行われる「桶川まつり」です。
見た目は悪いかもしれませんが、
ちゃんとした伝統行事です。
それは江戸時代のこと。
その年はどうにも天気が悪く、
作物が育ちません。
村の食べ物が少なくなっているときに、
村にみすぼらしい身なりの男がやってきます。
自分たちの食べ物もどうするかといっているのに、
村人達はこの男に食べ物を分けて親切にします。
そうしていると天気がよくなり、
作物もちゃんと育つようになります。
あの男は神様なのかもしれない、
村人たちは男を探しますが、
村のどこにも男はいません。
それから縣神社では、
みすぼらしい男に扮した厄年の人に、
赤飯を振る舞う祭りが行われるようになりました。
最初は黒く塗られた、
とても良く出来た人形が置いてあるのかと思ったら、
男の人がボサボサ頭に黒塗りで座っていてビックリ。
男の人の前にビニールシートを敷いて、
その上に縁起物の赤飯を豪快に落とす、
なんともいえない光景のお祭りです。
赤飯を運ぶ桶も、
わざとみすぼらしく見えるように作られています。
この辺りの人たちには、
春の訪れをしらせる風物詩なのですが、
春のイメージと離れた光景に戸惑ってしまいます。
昔は生活困窮者のかたが座っていたという話もあり、
地域のセーフティーネットの名残なのでしょうか。
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