これは、京都府南部、全国的にはお茶の町として知られる
宇治市のお祭りのお話です。

京都には「3大奇祭」と呼ばれるいわゆる
奇妙なお祭りがあるのですが、
今回ご紹介するのは、その内1つの奇祭、
別名「暗夜の奇祭」と呼ばれる【県(あがた)祭】です。

県祭は、毎年6月5日から6日未明にかけて行われる
県神社の祭で、深夜に沿道の灯火をすべて消して
暗闇の中を梵天渡御が行われることから、
先ほどの「暗夜の奇祭」と呼ばれる所以なのです。

それでは具体的にはどんなお祭りなのかをご紹介していきましょう。

祭りには様々な願いが込められて、その土地土地で発祥され、
現在に語り継がれてきたものだと思います。

ある土地では豊作、ある土地では天変地異をなくすため、
ある土地では大漁祈願、現在の世は平和や平穏に慣れすぎて
長らく神様に祈るなんてことを大それてしたことはありません。

しかし、昔の人は違います。
子宝というのも大切な願いの対象でした。

県祭が何故、深夜に梵天渡御をするのか
これまでの文面ではご紹介出来ておりませんでしたが、
この梵天は2基あります。

1基は「男(お)じし」、
もう1基は「女(め)じし」と呼ばれる神輿です。

それぞれ、おじしは男性器、めじしは女性器を模しており、
これを担いで深夜に練り歩く訳です。

子宝繁栄のため「夜這い」が推奨されていた時代のお話。

夜な夜な出歩き、種を植え付ける
梵天の持ち手の掛け声は、「さいりょうや。さいりょう。」
現在の祭に参加してみると、こう聞こえる。

でも昔からの掛け声がなまって現在の掛け声になったそうです。

昔ながらを知る担ぎ手は「さあ入れようや。さあ入れよう。
大きくこう叫び、祭は佳境を迎えるそうです。