カセ鳥は、温泉で知られる山形県の上山市で2月に行われる、
商売繁盛や火の用心を祈願する祭事です。

頭から被ったミノで全身を覆った、
カセ鳥と呼ばれる神様達が街を練り歩きながら、
住人達から水をかけられます。

カセ鳥達は水をかけられながら、
陽気に「カッカッカーのカッカッカー」と歌い踊ります。

祭事は上山城に設けられた炎を上げる焚き火に、
カセ鳥達があらわれる
ことから始まります。

カセ鳥達は炎のまわりを歌い踊ると、
今度は街の中を歌いながら進みます。

ついには新幹線のホームにまではいり、
上山市に訪れた人たちを陽気にもてなしてくれます。

何も知らずホームに下りた乗客達は、
巨大なワラの塊達が「カッカッカー」と歌い踊る光景に、
とても驚きます。

カセ鳥は「稼ぎ鳥」や「火勢鳥」ともいわれ、
その歴史は江戸時代にまで遡ります。

昔は1/15(旧暦)の夜に、
ミノで姿をかくして家々をまわり、
祝儀をもらう祭事だったようです。

各地で似たような行事が行われていた形跡があるのですが、
現代に受け継がれているのは上山市のカセ鳥だけです。

ミノの下は裸なのですが、
カセ鳥には容赦なく水がかけられます

気温によっては、
水が凍ることもあるそうです。

カセ鳥達は水をかけられた後に、
お酒と祝儀を振る舞われ、商売繁盛の祈願として、
カセ鳥の頭に手ぬぐいが括りつけられていきます。

炎を目印に何処からかやってくるカセ鳥達は、
水をかけないと供物を捧げられない荒ぶる神様なのでしょう。

荒ぶる神の姿と荒削りな方法で対話する人間、
それを見ることが出来る祭事がカセ鳥です。