おとぎばなしの住人たちは色々な手順をおこなって、
私たちの生活に影響を与えてきます。

それが現実に起こったら、
私たちはそれを解き明かすことができるでしょうか。

福井県を流れる九頭竜川の近く、
三河町と呼ばれるところに村吉という男がいました。

村吉が廻船問屋『橋本利助商』に泊込みで働いていた、
ある雪の晩のことです。

親戚が病気に冒されていて、しきりに村吉を呼んでいる

そう言って、
ほっかむりで顔を覆い頭から青ゲット(毛布)を被った、
親戚の家からたのまれた使いの男
がおとずれます。

それは大変だと、
村吉は男と共に雪の夜に親戚の家を目指します。

村吉と離れて暮らしていた家族の元にも、
青ゲットを被った男はあらわれます。

男は親戚が病気で呼んでいると村吉の母を連れ出し、
しばらくして今度は村吉の妻を連れ出します。

翌朝、
三河町にある橋のたもとが血に染まっていて、
辺りを探すと村吉の母と妻の遺体が見つかります。

恐ろしい言い伝えのような話ですが、
これは明治39年におきた実際の殺人事件です。

この事件は赤毛布の男として知られていますが、
捜査資料から男がかぶっていたのは
青い色の毛布というのがわかります。

青ゲットの男は村吉の子供も連れ出そうとするのですが、
留守を任された近所の主婦がこれを防ぎます。

近所の主婦や村吉の勤務先の人間の目撃情報があったのですが、
青ゲットの男の正体にたどり着くことは出来ませんでした。

村吉の遺体が見つからないまま事件が迷宮入りした20年後、
自分がこの事件の犯人だという男があらわれます。

京都府警に窃盗で逮捕された男が、
自分がこの事件の犯人だと言うのです。

ところが供述に不審な点がおおく、
すでに時効が成立していた事件ということもあり、
捜査が行われることはありませんでした。

ひとりづつ呼び出す舞台演出のような手口は、
金品目的や恨みからの犯行にしてはてまがかかりすぎています。

雪に残された血の量から、
村吉も同じ場所で殺害されていると考えられてますが、
村吉の遺体だけは何処かに消えていました。

例えば、
両手両足を縛ったままで首を吊った死体と聞けば、
何かの事件に巻き込まれた事を考えてしまいます。

ところが現実には自殺として処理されて、
捜査が行われることがない事件がときおりおこっています。

それは捜査をしても解き明かせない事件がある、
それを警察が知っているように感じてしまいます。