沖縄の与那国島(ヨナクニシマ)は、
古い言葉で最果ての島という名称で、
海鳥の島と言われるような人の少ない島でした。
潮の流れが悪く他の島との交流が難しいこともあり、
全ての物資を島内で賄うために、
時に残酷な行為がおこなわれました。
与那国島では15世紀くらいに人口が増え、
3万人を越える人が生活するようになります。
疫病等の流行もなく平穏に暮らしていたのですが、
人が減ることなく増えていくと食料が不足していきます。
「あの裂け目を跳び越した強い女だけ、
子供を産むことを許そうではないか」
人口を何とか抑制したい権力者が思いついたのが、
久部良(クブラ)地方の岩場にある大きな割れ目を飛び越えた、
強い女性だけが子供を産んでいいということでした。
与那国島で人口増加が問題になっていた時に、
税制の変更があったのが後押しになります。
それまでと違い人口に対して納める税が決められたので、
生産能力を越える人口だった与那国島では、
すぐにでも人口を減らす必要に迫られていました。
こうしてクブラバリ(久部良割)と呼ばれる岩の割れ目を、
妊婦が飛び越えることを強要されます。
クブラバリは幅3m深さ7mの大きな割れ目で、
妊娠した妊婦にこの距離を飛べというのは無理です。
現代の女子高校生で、
走り幅跳びの平均が約3m50cmなのですが、
足場の悪い岩場でお腹の膨らんだ妊婦がどれだけ飛べるでしょうか。
多くの女性がクブラバリを飛びましたが、
殆どは割れ目に落ちて怪我をおい、
子供もその時に流産してしまいます。
無事に飛び越えても、
その衝撃で流産することもあり。
中には頭から割れ目に落ちて、
死んでしまった女性もいました。
こうしてクブラバリは、人口調整のため、
生まれる前の命を飲み込んだ場所として伝えられています。
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