Yから聞いた話です。
Yは彼女のA子とは、
中学卒業と同時にA子の家が引っ越し、
別々の高校になったものの、
遠距離恋愛を続けていました。
しかし、高校1年の終り頃からA子からの連絡が途絶え、
疎遠になっていました。
Yは連絡がないのが気になってはいたものの、
向こうにも事情があると思ったのと、
父が入院したことでバタバタしていたこともあり、
そろそろA子に連絡しようと思った頃には
高校2年の夏まっただ中になっていました。
他方、Yは毎年お盆に開催される盆踊りに
A子と行くのが恒例行事であり、
その年もYは1人で盆踊りに参加したそうです。
Yは漠然と、盆踊りに行けば
A子に逢えるような気がしていたようです。
予感が的中したのか、
毎年変わることがない賑やかな盆踊りの喧騒の中、
Yは盆踊りで踊るA子を見つけて声をかけて
談笑したのだそうです。
久々の再会のせいか、
YはA子が今まで一番儚げで綺麗に見えたのだとか。
祭りが終盤となり、A子が帰るようなので、
YはもっとA子と話したかったこともあり、
A子と一緒に会場を後にしたそうです。
Yは道中、A子との会話に夢中で
気づかなかったのですが、
不意にA子が立ち止まった時に
自分たちが墓地にいることに気づきました。
どうして墓地にいるのかA子に聞こうと思ったYが
傍らのA子の方を見るといつの間にか
A子がいなくなっていたそうです。
狐につままれた気分になったYの後ろから、
YとAの共通の友人Dが声をかけてきました。
YとA子が2人でどこかに行くのが見えたので
後を付けてきたそうです。
そして、Dは墓銘を見るようにYに勧めました。
墓銘を見たYは絶句し、
同時に自分の半身を失ったような気持ちになったそうです。
Dいわく、A子は高校2年に進級してほどなく、
急性の不整脈で亡くなっていたのだそうです。
Yとの関係を知らないA子の親はYには伝えておらず、
DもYが自分の親が入院して慌ただしかったこともあり、
時期を見て話すつもりだったそうです。
Yは後日、Dから教えてもらった
A子の家に行きましたが、
Dの言ったことがドッキリではないことを
確認することになったようです。
盆踊りは、元は盆に招いた霊を迎え、
再びあの世へ送るための念仏踊りであるといわれています。
ハローウィンに近い話ですが、
覆面をつける盆踊りは、
亡者と生者の差別を無くす為の配慮である
とも言われているようです。
盆踊りに参加している人の一体何人が
「生きている人」なのでしょうね?
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