その日は友人の誕生日ということもあり、
いつも仲の良いメンバー5人で集まっていたのです。
お酒も入り、とても楽しかったのを覚えています。
いつも携帯のカメラで写真をたくさん撮るのですが、
その日は歌ったり踊ったりではしゃいでいたので、
動画を撮ろうということになり、動画を撮影したのです。
そして、後日。「そういえば動画撮ってたのよね?」
「見てみようよ!!」という話になり、
そこにいた友人とまずは2人で動画をチェックしたのです。
キャッキャキャッキャと楽しそうな笑い声とともに、
とても盛り上がっている様子がわかる動画に、
2人でクスクス笑っていました。
「これやばいよね?顔真っ赤だし」などと言いながら、
おおよそ5分程度の動画だったのですが、
途中2人して、「??」と止まる瞬間がありました。
「ねぇ、なんか変じゃなかった?」
「うん、なんかおかしかったよね・・」
どうも、その場所には違和感のある、
少し雰囲気の違う感じの人が映り込んでいるように見えたのです。
「A子じゃないよね?」
「いや、だって、A子は服が違くない?」
その違和感を感じた時間は、
半ばから後半にかけての1分程度。
場面がが切り替わるので、
それまでの間、ちょうど、TVの目の前当たりに
ちょこんと座っている感じで映り込んでいるのです。
なぜ、はっきりと、この場にいる人じゃないってことが
言えなかったかというと、後ろを向いているから。
顔が見えないのです。
でも、明らかにその髪型も、服装も、見覚えがない。
「ねぇ、巻き戻してみようよ。」
「え、怖いよ、みんな呼ぼうよ。」
「良いから、ちょっと貸して」
1人の子が、携帯を取り上げ、
もう一度巻き戻して再生します。
やはり映り込んでいる。じーっと見てみて、
一時停止をしてみても、後ろ姿だから何とも言えない。
「やっぱりみんな呼ぼう!!!」こうして、
その時の5人が揃いました。
怖いよ、怖いよと言いながら、5人集まると少しはしゃいだ感じで、
その場は明るくなります。
「ね?これ、だれでもないよね?A子、この時どこにいた?」
「私は、ケーキ切ってたじゃん!」
やはり、その日に集まった5人ではないことがわかりました。
「じゃ誰よ?」
「ちょっと、もう1回再生してよ!」
これで4回目の再生になりますが、
最初に見ていた2人の顔が青ざめました。
「ねぇ、もうやめよう!!もうヤバイ!!!」
「でしょ!?やっぱりやばいよね!?」
そう、最初に見たその動画と明らかに違うところは、
後ろを向いていたはずのその人が、
再生するたびに少しずつ少しずつ、こちらを振り返っているのです。
「え?うそでしょ?」
「マジ?もう1回!!!」
「やめなよ!!私見ないからね!!」
興味津々の子が、もう一度再生します。
もう一度、もう一度。
「やばい!!!!!」もう少しで、その顔が分かるというときに、
叫び携帯を落としてしまい、画面を割ってしまいました。
電源を入れようとしても入らず、これは壊れてしまったのだろうと、
仕方なく携帯ショップにいって修理を頼みました。
もちろんその時に、中に入っていたデータの復元も頼みましたが、
不思議なことに、他の全ての写真や動画は残っていたのですが、
その動画だけがどこを探しても見当たらず、消えてしまっていたのでした。
それ以来、特に何も起きませんが、
彼女があの時に携帯を壊したことがよかったのか、
今となってはそうだったと信じるほかありません。
ただ1つ気がかりなのは、その携帯を壊した彼女が、
少しずつ雰囲気が変わって消え入るように感じることだけです。
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