寝る前に窓を閉めた彼女は、深夜にカーテンが揺れる音で目を覚ました。風はないはずなのに、カーテンの隙間から黒い影が動くのが見えた。恐る恐る近づくと、影は窓の外に浮かんでいて、こちらを見つめている。窓を叩く音が響き、彼女はカーテンを閉めて眠ろうとしたが、音は止まらず、影がガラスに近づいてくる。翌朝、窓には何の跡もないが、夜になるとまた影が現れ、今度は窓を爪で引っ掻くような音がした。ある晩、勇気を出して窓を開けると、影が消え、冷たい風だけが吹き込んだ。だが、それ以来、窓を閉めても影が部屋の中に出没し、壁に映るようになった。
彼女は窓に板を打ち付けたが、夜に板が軋み、影が壁を這う音が聞こえる。友人に相談すると、「その家、昔、窓から何かが見えたって噂があったよ」と言われた。彼女は今、窓のない部屋で眠るが、背後に影が伸びる感覚が消えない。


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