これは、私が小学校低学年の時の初めての心霊体験でした。
私は5人家族の長女で、大きな家に引っ越しが決まり
やっと自分の部屋が出来るとウキウキしていました。引っ越し初日に管理人のおばあさんが
「次は長く住んでくれると良いけど」
といわれたのを今でも覚えています。5LDKの本当に大きな家でした。
日当りもよく庭も広く、
以前住んでいた人がこの家で塾を経営していた事もあり
大きなプレイルームもありました。何日かは何事もなく楽しく暮らしていたのですが、
ある日家族5人で夕食を食べていると
台所から電子レンジが動く音がしました。母は何でもないかのように止めにいきましたが、
それから毎日夕食の時間になると電子レンジが
勝手に動き出し食器棚の開く音までするようになりました。私は幼い頃に兄を病気で亡くしており、
母は「お兄ちゃんも一緒にご飯が食べたいのね」
と言っていたのでだんだん怖いと思わなくなりました。そんなある日まだ幼い妹が
リビングの扉を指差し号泣していたのです。母や父がどうしたのかと聞くと
「白いお化けがいた」と言いまた泣き出してしまいました。何かの見間違いだろうという事になりましたが
その後もポルターガイスト現象は続きました。そして今度は母が昼寝の最中に
いきなり大きな足音が屋根から聞こえたと言い
妹は新しい家に引っ越したいと言うようになりました。ですが母も父大きな広い家は他に見つからないだろうというので、
もう少し様子を見ようと言う事になったのです。何日か過ぎいつものようにみんなで寝ているときでした。
夜中にトイレに行きたくなり目が覚めたのです。いつもは隣で寝ている母をお起こし
着いてきてもらっているのですが、
その日に限って母はなかなか起きず
トイレも我慢の限界だったので
ひとりで階段を下りトイレに行きました。一歩置くだけでギシギシと大きな音が鳴る階段、肌寒い廊下。
月の光で照らされた玄関。嫌な予感だけが溜まっていきます。
部屋に戻るとすぐに布団に潜り込みました。ですがなぜか部屋が気になり布団からでて
みんなの寝ている姿を見渡しました。弟と妹は母と父の間でぐっすり眠っており、
父も疲れていたのかいびきをかいて寝ていました。母も静かに寝息を立てています。
ふと、母の鞄が枕元に黒いものが置かれているのに
一瞬驚きましたがそれは母の鞄でした。いつもは布団を敷いた後押し入れの上の段に
鞄を置き寝ていた事を思い出し、
何となく押し入れの方に目を向けたとき。背筋が凍り付き動けなくなってしまいました。
私が目にしたものは、女でした。
首から下のない頭だけの髪の長い女でした。顔は青白くぼさぼさの長い髪が床まで垂れ
ニッと大きな口を歪ませこちらをジッと見ていました。私は急いで布団をかぶり目をつむりました。
いつの間にか寝てしまっていたようで
目が覚めたときにはもう朝でした。一目散に階段を駆け下り母に夜に起こった事をはなすと
怖い夢を見たのではないかとあしらわれましたが
後日引っ越しが決まりました。私が中学に入ったとき
ふとこの事を思い出し母に話してみると、
あのできごとがあった後に管理人のおばあさんに
話してみたそうなんです。すると私たちの他に住んだ人たちも同じような経験をして
数ヶ月で出て行ってしまうそうなんです。その中のある夫婦があの大きな家で
傷害事件を起こしていた事もあるそうです。今もその家は取り壊される事なく貸しに出されているようです。


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