諏訪地方に伝わる神様
ミシャグジ様」がいらっしゃいます。

日本古来の土着神で
祭事に生贄を供物に求めたとされる神様
です。

また、一子相伝で神事の内容を代々受け継いでいき、
古は子が神事を受け継いだ時点で前任者を殺害し、
外部に秘伝が漏れ無いようにしていた
との伝承もあります。

話を聞いて初めのうちは「荒神様」と
神様の性質が近い
のかなあ?と思いました。

常に供物を求めていたり、御祭りするにあたって
神事を丁重に行うことなど共通点が見られるためです。

そこで神話に関する書物や資料を読んでみましたが、
どうにもはっきりしませんでした。

日本の神話で高天原の天津神から
日本の制定を命じられた大国主は国を安定した状態に導きます。

国津神となった子孫が国の統治権を天に返すよう命じられた時に、
息子の一人が拒みます。

業を煮やした天津神の使いが力比べを行い、
逃げ出した息子を諏訪の地で捉えますが、
息子自体が諏訪の地を治めていたとの記述は見られません。

広い見方をすれば国津神が全国を治めていたのだから、
捕らえて権利を返してもらえば天津神が治めることになるのでは?
とも取れますが、大国主の国創りでは生贄を供物に求めることはありません。

大国主以前の神様にスサノオがいらっしゃいます。

スサノオと生贄・供物を関連付けるなら
ヤマタノオロチが出てきますが、
スサノオは生贄・供物を求めるオロチを退治する側です。

天津神の子孫として全国に広がった国津神と、
日本に古来から存在し大国主の国創りで退治された
土着の神を国津神をわける事があります。

前者が「神格を持った一柱」に対し、
後者は「自然に対する畏怖の念や敬意を神様に見立てて
御祭りする対象とする」違いがあります。

(最初「ミシャグジ様」と「荒神様」が近い性質なのかと
考えたのはこのためです。)

大まかに説明すると西日本では「荒神様」東日本では
「ミシャグジ様」
としているようです。

(道祖神や塞の神のように境界を示す神様と同一視する見方もあります。)

ミシャグジ様」に関する資料を読んでいると
「荒神様」以上に丁寧かつ丁重に非の無いよう、
お仕えする神様なのかなと印象を受けます。

生贄を供物に求めたり、
失礼があると七代先に子孫が途絶える」と言い伝えがあるからです。

北に行くに連れて自然の中で生きていくのはそれだけ厳しいことだ、
と戒めているのかもしれませんね。

私は一度「ミシャグジ様」にお逢いしてみたいですが、
貴方はどうですか?

ただくれぐれも失礼な振る舞いをなさらぬ様、
何せ本職の神主ですら一子相伝で神事の内容を伝えていたとされる神様ですから。