私が高校生の頃キューピットさんというものが流行りました。
コックリさんの恋愛バージョンみたいなもので、
やり方は白い紙に大きめのハートを書き、
その中に「あ」〜「ん」までのひらがなとYes、No、鳥居を書きます。
そして鳥居に十円玉を置き、
その上に指を乗せて呼び出したエンジェルさんに質問をして、
答えてもらうというものでした。
恋愛のことで悩んでいた友達と私はエンジェルさんのことを知り、
遊びのつもりでやってみよう、ということになったのです。
放課後、友達の家に寄りエンジェルさんの紙を作り、
さぁ始めようかという時、私達2人とも10円玉を持いないことに気が付き、
急遽5円玉で応用することになりました。
そしてエンジェルさんを呼び出すことにしたのですが、
何度呼びかけても5円玉は鳥居からピクリとも動く気配はありません。
やはり5円玉ではダメだったのかと、
2人が諦め、終わりにしようとした時でした。
指を乗せていた5円玉がカタカタッと微かに動いた様に感じ、
その少しした後、勝手に紙の上を5円玉が滑ったのです。
初めのうちはお互い相手がふざけて動かしているのだと
チラチラ相手の反応を伺ってきたのですが、
どうもそれにしては5円玉の動きは変なのです。
カクカクと不規則な動きをし
私達の質問に変な答えを返してくる5円玉を
お互いが徐々に気味悪がり、私達は帰ってもらおうと呼びかけました。
しかし「お帰りください」という呼びかけをした途端、
その5円玉はパタリと動かなくなったのです。
背筋がゾッとし私達が顔を見合わせました。
コックリさんと同様、指を離してはいけないというルールの元、
勝手に終わらせるわけにもいかず、私達は必死に何度も呼びかけました。
しかしエンジェルさんは一向に帰る気配がありません。
指を置いている5円玉が妙に冷たく感じました。
そして何回目かの呼びかけの瞬間、
5円玉がゆっくりNoの文字に滑ったかと思うと、
パンッという破裂した様な音とともに部屋の電気が落ちたのです。
私はその瞬間恐怖のあまり、
「もう二度とやりません、お願いします、お帰りください」と叫び、
力づくで5円玉を鳥居に押し込みました。
そして勢いよく指を離すと
5円玉ごと紙をクシャクシャに丸め部屋の隅に投げました。
部屋の電気は、家に私達しか居なかったはずなのに、
ブレーカーが落ちていたようで、その後何事もなく点きました。
それ以来、そういった類の危険な遊びはやっていないですし、
二度とやりたいとも思いません。
もし5円玉ではなく、正式な10円玉でやっていたら…
どうなっていたのでしょうか…。
コメントを残す