8年前、私は高齢者が多く入院している病院で
看護助手として働いていました。その時起こった怖い話です。
私はある女性患者さん(Fさん)の担当になりました。とても気難しい方で、
「あの看護婦さんは注射が痛いからいやだ」
「腰と膝が痛くて歩けない」等々、とても訴えの多い方でした。いつも文句が多いので看護婦さんからはあまり好かれておらず、
勤務時間内であれば助手である
私がほとんどその方の介助をしていました。接している時間が多いからか、
看護婦さんのように気兼ねしなくてもいいからか、
だんだんとFさんから文句を言われることも少なくなり、
入院期間が長くなるにつれ、私はFさんと仲良くなっていきました。勤め先の病院では入院期間が3ヶ月を過ぎると
他の病院に転院しなくてはならず、
Fさんも3ヵ月で他の病院へ転院することになりました。転院の日、私はFさんの見送りをするために病室へ行き、
「元気になったらまた会いに来てください。
歩いてるところ見せてくださいね。約束ですよ!」と言いました。Fさんも「あんたには世話になったなぁ。
元気になったら絶対会いに来るからね。」とおっしゃってくれました。それから2ヶ月後、夜自宅で寝ていると、
ふいに目が覚めました。普段は朝まで目が覚めないのでおかしいなぁと思っていたら、
真っ暗な部屋の中で足音がしているの気付きました。私は一人暮らしだったし、戸締りもきちんとしたはず。
とても怖くなり、とにかく目を閉じて
じっとしている事しかできませんでした。足音は明るくなるまで
ずっと私の周りを行ったり来たりしていました。朝出勤してから仲の良かった看護婦さんに
「実はゆうべ~」と話したところ、
「それ、Fさんじゃない?一昨日転院先で亡くなったらしいよ。
あなたはFさんと仲が良かったし、歩くの見せて!
って言ってたじゃない」と言われました。亡くなったFさんが歩けるようになったのを
約束通り見せに来たのかな?とちょっと嬉しかった反面、
もし目を開けてたら・・・?と思うとゾッとしてしまいました。


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