豊田商事会長刺殺事件とは、
その名の通り、豊田商事の会長が刺殺された事件なのですが、
生中継に殺されたということもあり当時は騒然となりました。
事件の発端は、1985年に起きた『豊田商事』の
金のペーパー商法といわれる詐欺事件です。
豊田商事の永野会長は
自動車メーカーのトヨタに憧れトヨタの系列と錯覚させる為に
この社名を付けたといわれています。
一人住まいの金持ちの老人を狙い、
豊田の名前を使い金の現物を渡さずに、
証券という紙を販売し現金を騙し取るという手口で
社会問題となった事件です。
事件が大きくなるにつれマスコミの動きも激しくなりました。
マスコミたちは豊田商事の永野会長の
自宅マンションの前に張り込み、会長が出てくるのを待ちました。
待っている時にエレベーターで上がってきた二人の男が
銃剣を持ち、窓を壊し自宅に侵入し永野会長を殺害しました。
私はTV中継で殺人が行われるという放送を見てぞっとしました。
とても怖くなりました。
永野会長を殺害した男二人は、
血まみれの永野会長を報道陣にこれ見よがしに見せました。
そして青ざめた顔と興奮しきった状態で警察呼べ!
犯人わしや!
と叫ぶ声が脳裏に焼きつきました。
こんな恐怖を感じたのは初めてでした。
しかしその後もっと怖いと感じたのは、周囲のマスコミ達でした。
レンズを覗けば人間でなくなる・・と言った人もいましたが、
誰一人制止するでもなく、この殺害の様子を写し続け
レポートし続けました。
普通に人間なら怖くて逃げる人もいれば、
制止する人もいる。そして警察に通報する人もいます。
ですがマスコミ全員がこの行為を見守り、
最後の頭を割られ血まみれになった会長の顔を犯人が見せた時は
皆かじりついてその様子を見て、カメラに収めていました。
まさに異様な光景です。
群集心理でしょうか。
皆から憎まれている悪人が殺されている風景を
理性をなくし見入っているのです。
こんな事件の実況はもう二度とないと思いますが、
人間の本当の怖さを知ったような事件でした。
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