宮城県仙台市の伝統的な夏のお祭りである、
仙台七夕まつりに纏わる噂話です。

七夕といえば、世間一般的には七月七日を指しますが、
仙台七夕まつりが開催されるのは旧暦にあわせて、
例年ひと月遅れの八月五日~七日の三日間
です。

七夕の日に空が晴れて天の川が見えれば、
織姫と彦星が白鳥に乗って天の川を渡り、
一年に一度会えるとよく言われます。

しかし仙台の七夕は、
毎年奇妙なくらいに雨が降る
のです。

これは地元民の間ではもはやジンクスになっていて、
まるで周知の事実であるかのように扱われています。

もとは梅雨対策のために八月にずらしたのだ
という説もあるのですが、結果的に例年高確率で雨に見舞われています

気象庁などの統計でも、八月頭は雨やくもりが多くなっています。

藩祖伊達政宗のことから続く、仙台で最も古く歴史あるお祭りですが、
雨に降られてしまってはせっかくの七夕飾りが台無しです。

七夕飾りはどれも商店街の方々が手作りで作った紙の飾りですので、
水に濡れると見栄えも悪くなります。

そんな雨対策のために、
七夕飾りがつりさげられる箇所には滑車や手作りの糸巻きが作られ、
雨が降りそうになると飾りを一度降ろしてビニールで覆い、
雨から守るという対策が用意されています。

東日本大震災の直後も開催された、
市民の力で続けられてきた伝統的なお祭りに水を差す雨ですが、
一説には七夕の日に降る雨を「催涙雨」と言い、
織姫が彦星と逢えた喜びに流す涙が雨となって
地上に降り注ぐ
のだという言い方があります。

今も続く盛大な祭りに感極まって、
天にいる政宗公が嬉し泣きしているのだと思えば、
どこか晴れ晴れしくも思えてくる雨です。