私が大学進学のために引っ越した宮城県仙台には
仙台四郎」という有名な人物がいます。

知的障害があったらしく、ほとんど話すことができませんでしたが、
四郎が訪れる店は必ず繁盛するとして存命中から各地でもてなされた人物です。

没後、商売繁盛のご利益がある福の神として
その写真が飾られるようになり、
今も仙台市内のあらゆる店舗でそれを見ることができます。

そのせいか複数名の現代版仙台四郎のような
都市伝説噂話をよく耳にしました。

私がバイト先の喫茶店で初めて聞いたその手の話はまるで逆でした。

そこで知り合った先輩曰く、ベレー棒を被った品のある老紳士が、
途中で箸を置いた飲食店はつぶれるというものでした。

実際にどこどこのお店がつぶれたなどとも聞かされましたが、
私は仙台が地元ではないので、すでに無くなっている
そのお店のことは見たこともないので微妙なところですが。

噂ではその老紳士は超有名企業の会長らしいということでした。
月に数回お付きの人も連れず、一人でフラリと食事をしに現れるそうです。

そしてゆっくりとメニューを見たあと、
「ここで一番人気のあるものはどれですか?」と聞いてくるそうです。

大抵の場合はそれを注文し、完食して帰るそうですが、
稀に途中で食べるのを辞めることがあり、
「すいません、ちょっと量が多かったようです。残してしまって申し訳ない」
と言ってその後二度と来ないそうです。

そしてそのお店は長くても数カ月でつぶれるそうです。
私が2年近くいたバイト先には現れませんでしたが。