第二次世界大戦末期、
日本陸軍の大佐をしていた辻政信という人物がいます。
ノモンハン事件、マレー作戦、
ガダルカナル島の戦いなどに参加し、
「作戦の神様」と呼ばれた参謀であり、
また非常に実直な性格の人物でした。
例え、相手が上司であろうとも議論になれば、
大声で話し罵倒したと言われています。
また、優秀ではあるが、
失態を部下の責任に押し付けたり、
戦場での独断も目立ちました。
非常に毀誉褒貶がある人物です。
この男の戦後の動きがまた怪しいのです。
マレーシア近郊で終戦を迎えると、
イギリス軍の捕縛から逃れる為にジャングルに潜伏します。
周囲には『敗戦を受け入れ難く、
シアトルの奥で自決する』と言って、
追跡の手を緩める画策までします。
実際は僧侶に化け、タイに逃れています。
さらに中国の重慶に逃げ、
終戦約一年後の日本に帰国します。
その後、自由党に参加し、衆議院議員になり、
参議院に鞍替えします。
戦後の混乱を上手く渡り歩いた人物ですが、
最後は行方不明になり、死亡したことになっています。
参議院議員の任期中にマニラに出張したまま、
姿を消すのです。
辻には様々な疑惑がありました。
逃亡中のタイでタイ国王をピストルの暴発に見せかけて殺害した、
中国潜伏中に中国政府と秘密裏に工作した、などです。
また、ソ連の崩壊を早くから予期していたと言われています。
その中で言われているのは、陸軍大佐の時に、
その立場を利用して旧日本陸軍の資金に手を着け、
敗戦時のどさくさに紛れ、軍の保持していた金塊を盗んで
マニラの山中に埋めた、という噂です。
彼が参議院議員の任期中にも関わらず、
マニラに出かけたのは、潜伏中に隠した金塊を回収するためだ、
という噂があります。
彼がマニラからジャングルに向かった事は分かっていますが、
その後の足取りは不明です。
また、付近の村には終戦直後、日本軍が来て、
何かをしていたという事を覚えている住民もいたそうです。
しかし、戦後に辻の姿を見た者は誰もいません。
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