幼い頃、兄妹たちとよく、
コタツの中で喧嘩をしていました。
コタツは小さく、私達兄弟三人が
匍匐前進をするような姿勢で、
コタツの中にすっぽり下半身を入れてしまうと、
お互いの足と足が重なり、暖かい場所の
取り合いになってしまうのです。
ある日、私はコタツの中で足をグネッと曲げて、
他の誰の足もないところを足で探りみつけ、
ちょうど気持ちの良い姿勢と暖をとりながら
コタツで寝転んで読書していました。
ふいに、誰の足にも重ならないようにしていたはずなのに、
私の足のすねをかかとで蹴ってくる足がありました。
他の兄妹の邪魔にならないように
多少無理な姿勢をとっているのに、と腹が立ってきて、
コタツの中で思い切りその足をつま先で蹴飛ばしました。
怒りに任せてさすがに強く蹴りすぎたか、と思い、
コタツに入って同じく読書している兄の顔をうかがうと、
何でもないようにしてコタツに肘をついて本を読んでいます。
おかしいな、と思って、
「さっき思い切り蹴ってごめんね」と謝ると、
なんのこと?、といった表情。
よくみると兄は正座しており、
コタツに入っている部分は膝のみでした。
もう一人の兄妹はその日不在でした。
さっきかかとで私のすねを蹴ってきたでしょう、
と聞いても、ずっと同じ姿勢で本を読んでた、といわれ、
確かに兄は足と足が重なって邪魔にならない限り
コタツの中でつついてきたりはしないな、と思い直しました。
じゃあ、さっきコタツの中で
私の足をツンツンと押してきたのは…?
確かに、人の足の、かかとの感触でした。
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