私が小学生のとき、
心霊体験特集の本が出版され、
友達みんなで回し読みしていました。

その中の袋とじページは、
いわゆる「自己責任」系の怖い話で、
心臓が弱い人は読まないでください!と
掲載されていました。

当然、怖い話をみんな期待しているものですから、
平気でその袋とじを開封し、
中にある怖い話を読み始めました。

「さっちゃんの曲を歌うと夜中にやってくる」などの
定番の怪談の中にひとつ、「おかむろ」と書かれた
怖い話がありました。

「おかむろ」の内容は、ほとんどありません

ただ、この「おかむろ」という言葉を覚えている場合、
その夜に「おかむろ」という妖怪がやってきます

その際には「おかむろ、おかむろ」という呪文をずっと唱えて、
去るまで言い続けなければならない
というのです。

もし呪文を言い続けなかった場合は、
「おかむろ」という化け物が
あなたを八つ裂きにしていまいます
よ、
という話でした。

読んでしまったあと、
怖がりの私は「嫌だなあ」と思いつつ帰路につきました。

そのままいつも通り家で夕食をとり、
寝ようとする前にふと浮かぶのが
昼間の「おかむろ」話です。

「まさか本当にくるわけない」と言い聞かせ、
無理やり寝つきました。

普段から夜型人間だった私は、
気になることがあると大抵深夜に目が覚めます。

その夜もいつものように目を覚ましてしまいました。
時計は深夜1時頃です。

小学生にとっては恐怖の時間であり、
今まさに「おかむろ」が来られたらと思うと
ぞっとしてしまいます。

無理やり寝ようとしたのですが、
なかなか寝付けず布団の中をゴロゴロしていると、
「コン。コン」と窓をたたく音がしました。

血の気がさーっとひいていくのが自分でもわかりました
ここは2階です。窓をたたかれるようなことはないはずです。

しかしそれは何度も「コン、コン」となり続けています。

止まるような気配はなく、また、私も根性を出して
カーテンを開けて確認する勇気がありません。

これは来た、「おかむろ」がきたんだ!と思った私は
布団の中で「おかむろ、おかむろ」と唱え続けました

何度唱えたかは覚えていません。
でも朝方までずっと唱えていたと思います。

ほとんど眠れないまま、
カーテンの隙間から日差しが差し込んできたときには
ほっとしました。

どうやら「おかむろ」は去ったようです。
すごく眠かったことを覚えています。

本当に「おかむろ」が来たのかどうかは、
わかりませんが窓がたたかれたことは覚えています

そんな幼少期の記憶だったのですが、
最近オカルトサイトを巡回しているときに
久しぶりに発見したのです。「おかむろ」の話を。

あれから数十年経過していますが、話はほとんど同じ、
しかもその体験者さんも同様に、
「おかむろ」がやってきた
と語っていました。

おかむろ」ってなんなんでしょう?

そして私が体験したのは
やはり「おかむろ」だったんでしょうか?

いつかまた、深夜に窓をたたかれるようなことが
あるのかもしれません。