以前、アパートで一人暮らしをしていた時のことです。
そのアパートは広くてきれいでしたが
少々日当たりが悪く午後からしか
日差しが入りませんでした。またその頃、仕事や人間関係で疲れることが続いて、
だんだん死にたいと思うようになりました。今思うと鬱状態になっていたと思います。
包丁で首筋を切ったらどうなるかと考えたり、
仕事帰りにカッターを買い込んだりするようにもなりました。そんなある日の夜、
ぼーっと白いアパートの天井付近を見ていると、
天井近くの壁からにょきにょきと白い手が生えてきました。20本くらいあったと思います。
それはみんな女の人の手で、
それぞれ勝手にもぞもぞ動いていました。しばらくそれをぼんやり見ていましたが
正気に返って「手?」と思った瞬間にふっと全部消えました。それからとうとう幻覚を見るほどおかしくなったかな、と考えて、
そこに置いてあったカッターを見ました。さっきまでそれで手首を切ろうと思っていたのですが、
あそこにあった手に自分の手がなかったのに気がついて、
なんとなくやめました。次の日に雑誌で読んで部屋とトイレに盛り塩をし、
数日後に不思議にも気分が良くなってきたので、
いい部屋だったのですが思い切って
そのアパートは引っ越すことにしました。後で気づいたのですが、その部屋の盛り塩は
いつも翌日にべちゃべちゃになっていました。あの時読んだ雑誌にありましたが、
悪い気の溜まりやすい場所の盛り塩は
湿気りやすいそうです。


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