夏の夕方、彼は庭に水を撒いていた。土が湿る中、地面からかすかに震えるような感触が伝わってきた。不思議に思いながらも続けると、土の中から低い声が聞こえ、「やめろ」と繰り返す。驚いてホースを止めると、声は消えたが、庭に小さな手形が残っていた。
翌日、手形は増え、夜になると庭から声が響き、窓に手形が付くようになった。ある晩、庭を見ると、土が動き、手が這い出てくるのが見えた。近所に聞くと、「その庭、昔、埋められたものがあるらしい」とだけ言われた。彼は今、庭に出るのを避けているが、窓の外で土の臭いがする。


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