以前住んでいた家での出来事です。
繁華街の中にある古ぼけた一軒家でした。
特に変わったところもなく、
私と両親、祖母と暮らしていました。
中学生になったある日、
寝ていると急に金縛りにあうことが増えたのですが、
両親に相談しても思春期にはよくある事といわれ、
また自分でもなにか見えるわけでもないので
特に気にはしていませんでした。
ある日の夜、深夜二時ごろ金縛りにあいました。
ああまたか、と思っていると、
急に足元から誰かが這ってくる感触がしました。
いつも何もないのにどうして…と驚いていると
すっと目の前に女の人の顔が見えました。
青白かったけれど、とてもきれいな人で
私の顔をふわっとなでてそのまま消えてしまいました。
次の日の夜もその人はまた現れました。
よく見ると長襦袢一枚の姿で、髪が乱れていました。
それから三日続けてその人は現れました。
ただただ、下から這ってきてこちらを見つめるばかりで
だんだんと怖さが薄れてきていました。
四日目にも同じように現れたのですが、
いつもとは違う着物姿でした。
気づくと枕元に座っていて、私の首元をさわっていました。
と、急にものすごい力で首を絞めてきたのです。
力もすごかったのですが、ものすごい形相でした。
何かぶつぶつとつぶやいていたのですが、
何も聞き取れません。
必死に抵抗して気づくと彼女はきえていました。
後になって知ったことですが、
その家は遊郭の跡地に建ったものでした。
彼女の赤い鮮やかな着物の柄が
今でも目に焼きついて離れません。
何を伝えたかったのか、
どうしたかったのかは今でもわからずじまいです。
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