私が小学生の頃、
近所に荒れ果てた一画がありました。
ブロック塀で囲まれており、
鍵はついていませんでしたが大きな鉄の門があり、
庭の草木は伸び放題で、平屋の家が建っていますが中は見えず、
赤い屋根が少し見えるだけでした。
初めは噂も何も知らなかったんですが、
本能的に近付かない方がいいような気がして、
遊んだ後や習い事の後の陽が暮れた時の帰り道には
通らないようにしてました。
でも、人数が多ければ好奇心が勝ることもあり、
行ってみようということになりました。
兄と兄の同級生、私と私の友達4人で向かいました。
夏だったんですけど、
一瞬、そこだけは寒かったような気がします。
鉄の門は鉄格子のような感じで、
小さい子どもなら隙間から入れる幅はあり、
足をかけて門を越えて上から入ることも出来る状態でした。
敷地に入って、今までは見えなかった家が見えました。
雨戸が中途半端に閉められ、
大部分は壊れた状態で居間が丸見えの状態でした。
家の中も荒れ放題で、畳から草が生えてるような状態で、
長らく人は住んでいないんだろうと思いました。
家に近付き、縁側に足をかけようとしたときに
何かが聞こえた気がしたんです。
でも、周りの人は聞こえてないようで家に上がっていました。
が、またボソボソっと人の声が聞こえた気がして、
「何か聞こえない?」と聞きました。
そうしたらみんな黙って、耳を澄ましてると…
「おいで」と。
低い男の声で、聞こえるけど、
どこから聞こえてくるのかはわかりませんでしたが
全員に聞こえたようで一斉に逃げ出しました。
入るときはすんなり入れた鉄格子の幅が、
心なしか狭まったような気がして、
半泣きで焦りながら脱出しました。
後に噂話程度で聞いたんですが、
近くにある工業団地の会社の借家だったらしいんですが、
住んでた男の人が玄関で首吊り自殺をしたそうで、
それからそのまま放置してたそうです。
信憑性はわかりませんが、声は確かに聞こえました。
しばらくして神主さんらしき人がお祓いをしてるのを見かけました。
今は駐車場になっているそうです。
コメントを残す