私の新人ナース時代の怖い話です。
コツコツと日常業務をこなし、
先輩方々から看護技術を習得しながら、
毎日、日々の看護師としての駆け出しを、
精一杯だったある日のこと。
その日は、そろそろ1人だちが板についてきた、
ある夜勤の出来事でした。
いつものように、パリッと白衣に着替え、
患者さんの申し送りを受け、内科病棟を、
一回りして変わりがないか、みてまわる。
患者さんに話しかけ、夜勤がスタートする。
朝まで無事、仕事を全うできますように、
今日も祈りながら笑顔で業務をこなしていく。
ああ、今日も変わりないな、点滴もうすぐおわるな、
薬もセットしないと、ナースコールだ、次から次と、
五感を研ぎ澄ましていなければ、思わぬ事故がおきそう、
この職業。気は抜けません。
9時の消灯が過ぎ、おやすみなさいと電気を消していく。
やっと自分の、つかの間の夜食。
その間もナースコールは鳴りひびきます。
今日は、やけに荒れるなぁと思いながらも、
カルテに記載、書類整理、薬に点滴、明日の準備と、
すでに日づけも変わって、仮眠時間も忘れていた。
がんばらないとと自分に言いきかす。
詰所の窓からは、隙間風か、カタカタと。
今夜は冷えこむわ、と、カーディガンを羽織り、
電気ストーブを灯す。
冬が近づいてきた、患者さん体調崩さないようにしなきゃなと、
病棟内の温度湿度をみて加湿器をセット。
詰所に戻って温かいミルクティーを飲みながら、
仮眠をしてなかったせいか少しウトウトしてしまった。
ハッと我にかえる。
あ、ラウンドの時間だ。
深夜2時。
懐中電灯を持ち病棟内をラウンドして歩く。
1部屋1部屋、変わりない問題なしと、順番にまわる。
詰所の前に戻ってきて、あと3部屋。
ここの直線廊下は、目の前に大きな窓。
夜は閉鎖されてる暗いリハビリ室が交わるTの字廊下。
2部屋みてまわり最後の病室をみおわり、
再びその廊下を引き返したその時、耳のすぐ後ろで、
「看護師さん」と呼び止められた。
ふと後ろを振りかえるが誰もいない。
女の人の声。
しかし、このラインの病室は、
全て寝たきりの患者さんの部屋だったのだ。
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