私がまだ小学生の頃、
周りは山だらけで自然豊かな土地に暮らしていました。
暖かくなると近所の人たちは山菜取りや
タケノコ採りに出かけます。
私の家族も同様に、そろそろ山菜の季節だから採りに行こうと、
いつもの山に向かいました。
山に着いたら、絶対に離れないようにということを
散々言われていたので私は親のそばから離れず
山菜取りをしていました。
でも子供なんて山菜はあまり食べられないので、
しばらくすると飽きてしまい、虫を採ったりして遊んでいました。
「離れたらだめだよ」と親に言われたので
私は「大丈夫だよ」と返しました。
そうすると、あたりがシーンとしました。
私は不思議に思って親の声がした方向を見ました。
ですが、誰もいなかったのです。
私は全身の血の気がひき、お母さん!と大声で叫びました。
ですが返事はありません。
涙目になりながら「はぐれたら、その場を絶対に動かないで」
という親の注意を思い出し、とりあえず地面にへたり込みました。
何度叫んでも返事はありません。
どうしよう、どうしようと思っていると、
木と木の間からガサガサ、という音がしました。
私はビクッとなり、イノシシか何かかと思い死を覚悟しました。
そうすると、その音のする方から、
誰かがこちらを見ているのが分かりました。
声をかけるでもなく、おばあさんのような風貌の人が
ただ覗いているような感じでこちらを見ています。
私は恐ろしくなって一目散にその場から逃げ出しました。
泣きながら「お母さん、お母さん!!」と叫び走っていると、
後ろから「○○!」と私を呼ぶ声がしました。
ビックリして振り返るとそこには親の姿が。
私は腰を抜かし泣きながら母親に抱きつきました。
母親によれば、一分程私の姿が見えなくなったので心配になったら、
いきなり叫んで走っていったという事でした、私は起きた事を説明するも、
誰もそんな人いないし私の叫び声も聞こえなかったとの事でした。
それからは怖くて山菜取りには参加していません。
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