今から5年程前の話だったと思います。
その日私は用があってAさんの家に行っていました。思ったより作業に時間がかかってしまい、
気が付くと終電ギリギリの時間でした。今から帰り支度をして走っても
もしかしたら間に合わないかもしれないということになり、
Aが車で自宅まで送ってくれることになりました。運転手はA、私ともう一人Bの3人が乗っていました。
まずBを送り届けて、その後私を家まで送ってくれるとのことです。私はあまり道は詳しくないのですが、
確か和光方面から新百合ヶ丘に向かっていたと思います。既に日付も変わっていましたので外は街灯以外の明かりも殆ど無く、
人通りはもちろん車通も殆ど無かったと思います。車中は3人でテンション高くおしゃべりをしていました。
そのうちにAがぽつりと「あ、おばあさん今いたね。」と言いました。慌てて私もBも窓から外を見ますがそこには誰も見えませんでした。
その時すっかり忘れていたのですが、
このAが結構曲者で、視える・感じる人なのです。つまりおばあさんは本来見えない人だったのでしょう。
既にその時嫌な感じはしていました。Bが「おらん。」と言うと、
Aは「そっか。」とだけ言いました。車中が少し静かになってしまいました。
私は恐かったので話を何かと思いましたが、
何も言うことが出来ませんでした。小さな公園に差し掛かった時でした。
A「危ない!!」
Aの叫び声と、急ブレーキがかけられました。
私は何が起きたのかわかりませんでした。A「子供はねちゃった…」
Aのつぶやきに私もBも血の気が引くのを感じました。
だって私たちは車に何かがぶつかった感覚がないんですから。Aは車を降りました。
私もBも後に続きました。車の周りには何も誰もいませんでした。
ただ街頭でうっすら明るいだけです。B「気のせいだ。」
A「でもほら、見て。」Aの指差した先、車の前の部分が
明らかに何かがぶつかったとしか思えない形で凹んでいました。でも、間違いなくそこには何もありませんでした。
A「霊的なものもぶつかったら凹むんだ。私が気がついちゃったからかな。」
それ以降、私は真夜中にAの運転する車に
乗ることにならないようにしています。


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